新人教員の紹介(圷洋一教授)
4月からお世話になります。専門は福祉理論研究です。シティズンシップの新たな論じ方を模索しています。岡部卓先生の後任として公的扶助論を担当します。岡部先生は生活保護の政策形成と調査研究の最前線で活躍なさっていましたが、私は書斎にひきこもる文献研究者です。唯一の現場経験は、大田区で福祉オンブズマンに従事したことです。苦情案件への対応からは多くのことを学びました。申立人とサービス提供者の双方から言い分を聞き取り、公正な立場から対応策と所見をまとめるという一連の作業は、非常に骨の折れるものでした。オンブズマンとしての活動を通して、福祉現場で生じる利害の衝突や認識の齟齬を幾度も目の当たりにしました。自分が積み上げてきたことは、現場で生じる生々しい問題の解決には直結しませんでしたが、係争当事者が既に知っていることをあらためて言語化し状況を俯瞰しうる観点を提示することには大いに役立ったように思われます。机上の空論でもそれなりに実践的な意義を持ちうるということを、学生の皆さんに伝えていきたいと考えております。よろしくお願い致します。